生成AIでアプリを作るなら仕様書から|コードが散らかった話

生成AIでアプリを作るなら仕様書から|コードが散らかった話

今は運用を始めているアプリを、もっと前に作り始めたときのことです。とにかくチャットで聞きながら作っていくやり方を、私は試しました。 動くところまでは行きました。でも、途中からコードが散らかって、まとまらなくなったんです。 生成AIに聞きながら業務のアプリを作っていて、直すたびにどこかが崩れる。そこで手が止まっている人もいると思います。 作らせる前に、何のために作るかと前提を数行書いておく。まずはそこから試せます。

散らかった原因は、AI の出来ではありませんでした。私が、前提を読ませていなかったことです。 今は、作業させる前に、目的と前提を書いたファイルを置いています。細かい所まで決めなくていい。ただ、何のために作るのかだけは最初に決める。私はそう考えています。

よくある悩み
AI に聞きながら作ると、最初は進むのに、直すほど前の所が崩れていきます。
日向創
私も、前提を書かずにチャットだけで作って、コードが散らかりました。今は、作らせる前に前提とゴールを書いています。
目次

チャットで聞きながら、まず動くところまで作った

最初は、仕様書を作らないまま、チャットで AI に聞きながら作り進めました。 ここで出てくる言葉は、次のような意味です。

仕様書

何を、何のために、どう作るかを書いておく文書。この記事では、AI に読ませる前提を書いたファイルのことです。

コード

アプリの中身を書いた、命令の文です。

デザインシステム

ボタンや色、文字の大きさなど、見た目の決まりをまとめたものです。

その日その日にチャットを開いて、作りたい所を聞きながら進める。そういうやり方でした。 見た目は、そろえたいと思っていました。だから、デザインシステムを使ってコードを書くように、AI に頼んでいました。

正直に言うと、仕様書を作るという知識が、当時の私にはありませんでした。 今ふり返ると、出発点は何のために作るかを書かないまま、作り始めていたことです。

それでも、動くところまでは行ったんです。 新しいものは、まず自分で触ってみる。私はそういう性分です。 足りなかったのは、試し方より、AI に渡す前提のほうでした。

途中からコードが散らかり、何かがおかしいアプリになった

作り進めるうちに、コードが散らかってきました。 その日その日にチャットを開くと、AI が読んでいる情報が、日によって違う。 ある日は違うバージョンのものを読み、ある日は違うコードを読んでいる。そんな状態になっていました。

結局、まとまりませんでした。

ページは表示される。でも、何かがおかしい。

AI が読む情報が日によって違い、作りがそろわなくなっていきました。できあがったのは、統一されないアプリです。 デザインシステムを使うように頼んでいても、見た目がそろわない所が出てきました。

高いことをやろうとして、すごく失敗したなぁと思います。

散らかった、と書きました。いや、正確には、まとまる材料を最初から渡していなかった、が近いと思います。 直したはずの所が、別の日にまた崩れている。そんな経験はないでしょうか。

散らかった原因は、AI に前提を読ませていなかったこと

原因は、AI に前提の情報を読み込ませていなかったことでした。 前提が無いから、AI は前提をもとに判断して書くことができなかった。私は今、そう考えています。

前提を書かずにチャットで作ると、AI が読む情報が日によって違い、前提で判断できず、作りも見た目もそろわなくなる流れ

「AI の出来が悪いから散らかった」と考えるのは、違うと思っています。 私の場合、散らかったのはAI が悪かったからではなく、私が前提を渡していなかったからです。 同じコードを読んでも、その AI が何を持っているかで、前提は変わります。

人間でも同じで、たとえば、製造の現場にはこんな場面があります。

長く担当している人 初めて担当する新人
加工の図面を見て分かるか 金属加工に詳しければ、すぐ分かる 加工の経験があれば、分かる
そのお客さんが何を守っているか 「この会社さんは外観が厳しい」と分かっている 分からない
任せたときの結果 気をつける所を押さえて進められる うまくいく時もあれば、「いやいや、うちはそういうことじゃない」という失敗も起きる

新人は、加工の腕が足りないわけではありません。知らないのは、その会社が何を守っているか、のほうです。 それと同じことが、AI でも起きるんです。

だったら、新人に伝えるのと同じことを、AI にも先に伝えればいい。 私なら、初めての担当に仕事を任せるとき、まずそのお客さんが何を気にするかを伝えます。AI に作らせるときも、先に渡すのは「何を守るか」です。

今は、作らせる前に目的と前提をファイルに書いている

今は、作業するフォルダの中に、前提を書いたファイルを置いています。そのうえで、AI に作業させるようにしました。 そのおかげで、同じ失敗は今は起きていません。 このサイトの運用でも、前提を書いたファイルを置いて、AI に作業させています。

作らせる前に、目的と前提を書いたファイルを置く。散らかった経験から変えたのは、この順番です。

じゃあ、何を書けばいいか。 細かい所まで書かなくていいと、私は思っています。たとえば、次のような項目です。○の所を、自分の仕事の内容に変えて使います。

これから一緒に作るアプリの前提です。作業を始める前に読んでください。

【目的】○○の仕事で、○○の手間を減らす
【使う人】○○の担当
【できればいいこと】
・○○を入力できる
・○○を一覧で見られる
【守ること】
・見た目は、○○の決まりにそろえる
・前に作った所を、断りなく作り直さない
【まだ決めていないこと】
・○○
分からないことがあれば、作る前に質問してください。

書いたら、AI に「この前提で、最初に何から作るか」を聞いてみてください。返ってきた答えが【目的】から外れていないかを読めば、前提が伝わったかを確かめられます。

私なら、【目的】の1行だけは、AI に任せずに自分で書きます。ここがずれると、あとの項目が全部ずれていくからです。 ほかの項目は、すでにチャットで作り始めているなら、AI にまとめてもらう手もあります。

ここまでのやり取りから、このアプリの前提を、次の5つの見出しで短くまとめてください。
【目的】【使う人】【できればいいこと】【守ること】【まだ決めていないこと】
やり取りに書かれていないことは推測で埋めず、「未定」と書いてください。

出てきたまとめは、下書きです。【目的】の行が自分の言いたいことと合っているか、「未定」の所が本当に決めていないことかを、読み比べてから使います。

仕様書は、1つのアプリのための前提です。毎回同じ説明をくり返す頼みごとを、登録して呼び出すやり方は、次の記事にまとめました。

細かく決めなくていい。ゴールだけは最初に決める

今から始めるとしても、いちばん大切なのは、何をどう作っていくのかの仕様書を最初に決めることだと思います。 とはいえ、細かい所まで、きっちり決める必要はありません。

何を目的に AI が動くのか。そのゴールを最初に決められないと、作っていく間にどんどんぼやけていきます。 あちこちに広がって、何がゴールだったのか、分からなくなる。

これは、前提を書くようになった今でも、起こり得ることだと思っています。 ファイルを置いたから大丈夫、とまでは言い切れない。ここは、私もまだ気をつけ続けている所です。

「何を作るかは、作りながら決めればいい」。そう思う人もいるかもしれません。 細かい所なら、私もそれでいいと思います。でも、ゴールについてだけは、この考え方に反対です。 アプリが仕事のどこを楽にするのか、誰が使うのか。私なら、ゴールが1行で書けないうちは、AI に作らせ始めません。

今作っているアプリの目的を、1行で書けますか。 作り始める前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 何のためのアプリかを、1行で書いた
  • 誰が使うかを書いた
  • 見た目をそろえる決まりを書いた
  • まだ決めていないことを、決めていないと書いた
  • 前提を、チャットの中ではなくファイルに書いた

全部そろってから作り始める必要はありません。1行目の目的だけは、先に書いてから始めてください。まずは小さく試してみてください。

作ったアプリを、自分のパソコンの外で、ほかの人にも使ってもらうまでの壁は、次の記事にまとめました。

まとめ:作らせる前に、何のために作るかを書いておく

チャットで聞きながら作ったアプリが散らかったのは、AI に前提を渡していなかったからでした。今は、作らせる前に、目的と前提を書いたファイルを置いています。細かい所は決めなくていい。何のために作るのかの1行だけは、自分の言葉で先に書いておく。それが、散らかった私の今の答えです。

社内で生成AIを使うことを上に相談するとき、相手が判断できるようにそろえておきたい項目は、次の記事にまとめました。

作りたいアプリの話を聞いてほしいときは、お問い合わせのページから送ってください。この記事で書いた【目的】の1行を添えていただければ、そこから伺います。メール(info@next-creations.jp)でも受け付けています。

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この記事を書いた人

製造業で10年以上、印刷・金属加工・アパレルの現場を経験。生産管理システムの構築やホームページの管理を担当してきました。Excel管理の限界にぶつかり、業務アプリを自作。2023年から生成AIを実務で使っています。IT担当者のいない中小製造業でも、人を増やさずに回る仕組みづくりを現場目線で発信しています。

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