社内サーバーのエクセルを複数人で更新できない|設定で済むかの見方

社内サーバーのエクセルを複数人で更新できない|設定で済むかの見方

社内サーバーに置いた Excel の在庫管理表を、生産管理と組立の現場、受け入れの作業員が、毎日のように開いていました。 誰かが受け入れの作業で開いていると、ほかの人は見ることはできても、更新ができませんでした。 何人もで1つの Excel を毎日直していて、設定を変えれば済むのか、もう替えどきなのか、決めかねている人もいると思います。 まずは、待っているのが「ファイルが空くこと」なのか、「対応できる人が来ること」なのかを分けるところから試せます。

よくある悩み
開いている人が閉じるまで待てばいい、とは思います。でも、それが毎日だと、こちらの仕事が進みません。
日向創
私も最初は、後回しでいいかと思っていました。それが毎日続いたことが、アプリを作ろうと考えるきっかけになりました。
目次

在庫管理表を社内サーバーに置き、3つの持ち場が毎日同じファイルを使っていた

Excel で在庫管理表を作り、社内サーバーに置いていました。 毎日使っていたのは、生産管理と組立の現場です。そこへ、受け入れの作業員も加わります。 持ち場ごとに、ファイルを開く理由が違いました。

  • 組立の現場:その日の組立数を入力し、足りなくなりそうな部材を生産管理に連絡する
  • 生産管理:支給部材と購入部材を、毎日入力する
  • 受け入れの作業員:受け入れの作業で、ほぼ毎日同じファイルを使う

表の数字は、仮のものでした。実際にいくつあるかは、現場にしか分かりません。 1つのファイルに、持ち場の違う3つの仕事が乗っている。 それぞれの作業のたびに、同じファイルが開かれます。 使う持ち場が増えるほど、開く時間は重なりやすくなります。

Excel が悪いわけじゃないんです。 困りごとは、1つのファイルを何人もで毎日開く、という使い方のほうから出てきました。 あなたの職場の Excel は、いくつの持ち場が毎日開いているでしょうか。

部品の棚と段ボールの横で、手袋をした手がクリップボードに書き込み、奥の机ではほかの人がパソコンに向かっている

写真:AI で生成したイメージ画像です

誰かが開いていると更新できず、後回しにした待ちが毎日になった

誰かが受け入れの作業でファイルを開いていると、ほかの人は見ることはできても、更新ができませんでした。 組立の現場も生産管理も、空くのを待つしかない。 作業を同時に進められず、それぞれの部署で、毎日待ちが出ていました。

面倒だな、後回しにすればいいか。最初は、その程度に考えていました。

よくある悩み
開いたままの人に「閉じてください」と頼むのも、毎回だと気を使います。
日向創
わかります。私も、その場では何もせず、後回しにしていました。

ところが、待ちは次の日も、同じようにやってくる。

その次の日も。

振り回されているうちに、仕事は遅れていきました。 アプリを作ろうと考え始めたのは、この毎日の待ちがきっかけです。

ロックされたファイルについて、Microsoft のページは、相手が閉じるまで待つ、書き込めない状態で開いて見る、相手に閉じるよう頼む、といった対処を挙げています。

出典:Excel ファイルの編集中にロックされる

どれも、その1回をしのぐ手です。毎日の待ちを、なくす手ではありません。 1回の待ちは小さいんです。 困ったのは、それが毎日、持ち場ごとに重なったことでした。

待ちのほかに、人によって対応できない戻りの扱いがあった

組立に使う購入品と支給品も、Excel で管理していました。 数の差異が出たり、返却したり、不良で返したものが戻ってきたりします。 Excel の中で、更新すること自体はできました。

困ったのは、たとえば不良で返したものが戻ってきたときです。 その場で対応できればいい。でも、人によっては対応できませんでした。 対応のルールが、その表の作りの中で決まっていたからです。

項目や別のシートを足せば、短い間なら回ります。けれど、長くは続きません。 原因が分からないまま、お金で解決していたこともありました。 売上の抜けや、生産管理システムへの入力漏れも起きていました。 どれも見える状態になっておらず、頼りは人の頭の中だけ。

ここは、ファイルが空くかどうかとは別の話です。 何人もで同時に開けるようになっても、対応できる人が増えるわけではありません。

正直、Excel を続けていてはまずい、と思いました。 ただ、「今はもう無理」と思ったわけではないんです。短い間なら、Excel で全然回ります。

何年も続けたら、どこかでおかしなことが起きる。

そう先を考えたときに、システムを使う、アプリを作る、という発想になりました。 表の工夫で消える困りごとと消えない困りごとを分けて、業務アプリに替えるかを決める目安は、次の記事にまとめました。

何人もで毎日直す表は、設定で変わる待ちと、変わらない決まりに分けて見る

当時の私は、置き場所や設定を変える手を打っていません。後回しにして、そのあとアプリを考えました。 今、同じように何人もで毎日直す表を前にしたら、私なら、まず待ちと決まりを分けて見ます。 置き場所と共同編集の話には、次の言葉がよく出てきます。

共同編集

何人かが同じ Excel のファイルを開いて、同時に直せる仕組みです。

共有ブック

何人かで1つのファイルを使うための、Excel の以前の機能です。今は共同編集に置き換えられています。

サーバーのパス

「\\server\folder」のように、社内サーバーの中のフォルダーを指す書き方です。

サブスクリプション

月や年ごとに料金を払って使う契約です。

サインイン

契約したアカウントで、ソフトに入ることです。

出典:Excel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業を行う、共有ブック機能について

社内サーバーに置いたままでは、共同編集の対象にならない

Microsoft の公式ページ「Excel ファイルの編集中にロックされる」によると、共同編集に対応する保存場所は、OneDrive、OneDrive for Business、Microsoft 365 の SharePoint(どれも Microsoft のファイル置き場のサービス)です。 社内のファイルサーバーのような、サーバーのパスで開く場所は、対応しない場所に入っています。 共同編集を使うには、Microsoft 365 のサブスクリプションでのサインインも必要です。

出典:Excel ファイルの編集中にロックされる

サーバーのフォルダーに置いたまま何人かで使う手には、「共有ブック」もあります。 ただ、制限が多いために、共同編集に置き換えられた機能です。 使えないものの一部として、表、条件付き書式、データの入力規則、シートの保護、マクロなどが挙がっています。

出典:共有ブック機能について

今の表が入力規則やマクロに頼っているなら、私なら「共有ブック」は選びません。 社内サーバーの Excel を同時に編集できない理由と、運用のルール・共同編集・業務アプリの3段階の手は、次の記事にまとめました。

置き場所を移しても、同じ所を何人もで直す表は分け方が要る

共同編集でも、2人が同じ所を変えたときは、一般に、保存された変更が優先されます(例外もあります)。 衝突を避けるには、人ごとに範囲やシートを割り当てることがすすめられています。 注意したいのは、共同編集に対応しないバージョンの Excel で、誰か1人が開いたときです。 ほかの人にも、ロックのエラーが出ることがあります。

出典:Excel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業を行う

私が気になるのは、「人ごとに範囲やシートを割り当てる」のほうです。 持ち場ごとに入れる所がはっきり分かれている表なら、この割り当ては作りやすいと思います。 反対に、何人もが同じ数字を直す表だと、どこで分けるかから考え直すことになります。

3つの持ち場が同じ数字を直す表は、持ち場ごとに入れる所が分かれている表と違い、どこで分けるかから考え直すことになる

OneDrive に移したのに共同編集にならないとき、どこから見ればいいかの順番は、次の記事にまとめました。

置き場所を変えても残る決まりから、替えどきを考える

置き場所や設定で変わりうる所

ファイルが空くのを待つ時間。持ち場ごとに入れる範囲が分かれているなら、共同編集の条件がそろうかを先に見ます。

置き場所を変えても残る所

例外の対応を、知っている人しかできないこと。対応のルールが、表の作りの中で決まっていること。

Excel で回るうちは、Excel でいいと私は考えています。 待ちだけが困りごとなら、まず置き場所と設定の側を見ればいい。 じゃあ、どこで替えどきを考えるのか。

私なら、置き場所を変えても残る所を見ます。 対応できる人が限られる表を、何年も同じやり方で続けられるか。 残るのが表の中の決まりなら、そこから次を考えます。

その前に、誰がいつ、どの持ち場でファイルを開いているかを書き出します。 書き出すと、待ちの所と、知っている人しか動けない所が、分けて見えてくるはずです。

まとめ

まとめ
  • 社内サーバーの在庫管理表は、誰かが開いていると、ほかの人は見られても更新できませんでした。後回しにした待ちが毎日続き、アプリを考えるきっかけになりました。
  • 置き場所や設定で変わりうるのは、ファイルが空くのを待つ時間のほうです。社内サーバーに置いたままでは、共同編集の対象になりません。
  • 人によって対応できない例外のように、表の中で決まっていることは、置き場所を変えても残ります。替えどきは、それを何年も続けられるかで考えます。

Next Creations は、中小製造業向けに、現場の作業を観察し、その流れに合わせて一から設計する業務システムの個別開発をしています。替えるかどうかを決める前に、今の表の待ちと決まりを整理したい、という段階でも構いません。誰がいつ、どの持ち場でファイルを開いているかを書き出したメモを、お問い合わせのページから送ってください。メールなら info@next-creations.jp です。

この記事で確かめた資料

この記事の Excel の機能の説明は、次の Microsoft の公式ページで確かめました。

画面の文言や手順、対応する保存場所は、Excel が新しくなると変わることがあります。お使いの Excel で一度確かめてみてください。

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この記事を書いた人

製造業で10年以上、印刷・金属加工・アパレルの現場を経験。生産管理システムの構築やホームページの管理を担当してきました。Excel管理の限界にぶつかり、業務アプリを自作。2023年から生成AIを実務で使っています。IT担当者のいない中小製造業でも、人を増やさずに回る仕組みづくりを現場目線で発信しています。

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