自作アプリがセキュリティと費用で止まったら|通る形を探す

自作アプリがセキュリティと費用で止まったら|通る形を探す

自作のアプリを、同じ現場で働く人たちと、上の立場の人たちに、それぞれ見せました。 現場の人たちからは「これができたら面白いよね」と声が上がりました。 上の人たちから多かったのは、「基幹(会社の仕事の中心になる仕組み)としてやるのはやめてほしい」という言葉です。 作ったものを上に見せて、セキュリティや費用を理由に止められ、次の一手が見えない。そんな人もいるはずです。 まずは、言われた理由を「セキュリティ」と「費用」に分けて、紙に書き出すところから始められます。

私は、断られたあとに中身の良さを言い直すより、通る形を探すほうが前に進むと考えています。 私の場合、AI の費用は自分の力になると決めて個人で払い、仮の運用は上に一声かけてから始めました。 「基幹にはしないで」は、「何もしないで」と同じ意味ではありません。

よくある悩み
現場では喜ばれたのに、上に見せたら「セキュリティは大丈夫なのか」で話が終わってしまいました。
日向創
私も、上の人たちに見せたときは、セキュリティと費用の話で止まりました。同じ現場の人たちの反応とは、まるで違いました。
目次

同じ現場の人に見せながら作ったら、いろいろなアイデアが出た

同じ現場で働く人たちには、見せながら作りました。 ひとりで仕上げてから見せたわけではありません。

見せるたびに、こんな声が出てきました。

  • 「これができたら面白いよね」
  • 「こうなったら分かりやすいよね」
  • 「こういうこともできるの?」

いろいろなアイデアが出て、「ここはこうしておいたらいいよね」という話がしやすかったんです。 反応は、好感触でした。

正直、すごくやりやすかった。

同じ現場の人は、毎日その作業をしている人です。どこで手が止まるかを、作る側よりよく知っている人たちです。 「ちゃんと仕上げてから見せたい」という気持ちは、わかります。 でも、ひとりで仕上げてから見せるのは、もったいないんですよね。 同じ現場の人に、見せながら作る。そうすると、使う人の言葉が、そのまま作る側の材料になるからです。

同じ現場の人に作りながら見せると、声が出て直す話になり、使う人の言葉が作る側の材料になる流れ

私なら、半分できたくらいの段階で、一度見せます。 あなたのアプリをいちばん使いそうな、同じ現場の人は誰でしょうか。

業務アプリに移ったあとも、使う人の「これじゃないの」という声を形にするほど、楽になっていきました。 Excel から業務アプリに移る目安と、移ったあとに声をもらいながら直し続けた話は、次の記事に書いています。

上の人に見せると、セキュリティと費用の話で止まった

上の立場の人たちに見せたときは、反応がまるで違いました。

見せた相手 反応 話がどこへ進んだか
同じ現場の人たち 好感触。いろいろなアイデアが出た 「ここはこうしておいたらいいよね」と、直す話になった
上の立場の人たち どういうサービスなのかが伝わらなかった セキュリティと費用の話になり、否定が多かった

個人が作ったものは、信頼されにくかった

まず、「アプリと言われても、どういうサービスなのか」が伝わりませんでした。 そのうえで、セキュリティの問題をどうしても言われました。 個人が作ったアプリは、信頼されにくかったんです。

一方で、CM で流れているサービスや、大手の会社が使っていると分かっているサービスは違いました。 そちらは、セキュリティなどの話は特に出ずに、OK が出ます。 そして多かったのが、「それを基幹としてやるのはやめてほしい」という否定でした。

個人開発だから信頼されない。正直、ちょっとだけ「ふざけんなよ」と思いました。でも、仕方がないとも思ったんです。

上の人たちは、毎日の現場の作業を、そばで見ているわけではありません。 私の印象では、中身の良し悪しより先に、個人が作ったものかどうかで止まりました。 知らない仕組みの安全を、自分で確かめる手立てがない。許可を出す側に立てば、名の知れたサービスのほうが通りやすいのも、無理はないと思います。

いちばんのネックは「AI の費用はどうするのか」だった

進めていく中で、いちばんのネックになったのは費用でした。 「AI の費用はどうするのか」という話です。

AI にまだ抵抗がある人が多い中で、会社に「お金を払ってね」とは、なかなか言えませんでした。

自分からは、切り出せない。

セキュリティの話は、仕組みの説明でまだ答えようがあります。 でも、AI の費用を誰が持つかは、作った本人だけでは決められません。 あなたが上から言われたのは、セキュリティと費用の、どちらが先でしたか。

費用は自分で持ち、仮の運用は上に一声かけてから始めた

そこで私が手を付けたのは、費用の持ち方と、始め方でした。

AI の費用は、自分の力になると決めて個人で払った

AI の費用は、自分の知識、自分の力になると決めて、個人で払いました。 自腹を切った、と書くと大げさですね。自分の知識に払うと決めた、のほうが近いと思います。

今は、会社が一部を払ってくれるようになりました。 個人のプライベートの使い方も含まれるので、全部ではなく一部です。

ここは、私がひとりで決めたことです。自分のお金で払うことを、勧めるつもりはありません。 費用は本来、会社が判断するための材料だと私は考えています。

仮の運用は、上に一声かけてから始めた

仮の運用は、上に一声かけてから始められました。 基幹にはしない。それでも、仮の運用なら始められる。私の場合は、そうでした。

私なら、どんなに小さく始めるときも、黙って始めることはしません。 一声かけておけば、相手にとって「知らないうちに始まっていた」にはならないからです。

「中身が良ければ、説明すれば分かってもらえるはず」と思うかもしれません。 説明を重ねることは、もちろん要ります。 ただ、中身の良さを言い直すだけでは、「個人が作ったもの」という見え方は変わりにくい。 私は、断られたら、中身を言い直すより、通る形を探すほうがいいと考えています。

その前の段階では、アプリを置く場所の許可をもらい、本番のデータを入れないサンプルで動きを見せたこともあります。 置き場所の許可のもらい方と、本番のデータを入れないサンプルの見せ方は、次の記事にまとめました。

「基幹にはしないで」は、会社の事情として受け取っている

今の私は、「基幹にはしないで」を、会社の事情として受け取っています。

よく言われるのは、こんな言葉です。 クラウド(インターネットの先にあるサーバーで動かす使い方)にある以上、完全に安全なわけではない。 それでも、会社のパソコンの中のほうがやっぱり安全だよね、と。

私も、クラウドが完全に安全だとは思っていません。 許可を出す側の心配も、もっともです。そこは、言い合っても変わらない。 だったら、心配が小さい形から始めればいい。基幹にしない、本番のデータを入れない、上に一声かける。そういう形です。

上の人を説得し負かそうとするのは、私は違うと思っています。言い負かしたところで、相手の心配が消えるわけではないからです。

説得し負かそうとするより、基幹にしない・本番のデータを入れない・上に一声かける、という心配が小さい形から始める

会社によって変わると思いますが、私の場合は、同じ立場の人たちの協力に助けられました。 見せながら作った同じ現場の人たちが、一緒に面白がってくれなかったら……。

ここまで進められたのは、私のやり方が正しかったからとは言い切れません。 周りの環境に助けられた、というのが正直なところです。

上に見せる前に、聞かれそうなことを書き出しておく

私なら、上に見せる前に、次の5つを書き出しておきます。

  • このアプリが何をするものか、1文で言えるか
  • データをどこに置き、誰が見られるかを説明できるか
  • AI の費用が、誰の、何のためのお金かを言えるか
  • 基幹にせず、仮の運用として始める範囲を言えるか
  • 一緒に使ってくれる、同じ現場の人がいるか

1つ目は、私が最初につまずいた所です。 「どういうサービスなのか」が伝わらないまま、セキュリティの話が始まりました。 5つ目を入れたのは、私自身が、同じ現場の人たちに助けられたからです。

いくつ、今すぐ書けそうですか。 全部そろってから見せる必要はありません。書けなかった所が、次に考える所です。

上に見せる前に、机のノートに聞かれそうなことを書き出そうとしている手元

写真:AI で生成したイメージ画像です

まとめ

まとめ
  • 同じ現場の人に見せながら作ると、使う人の言葉が作る側の材料になります。
  • 私の場合、上の人たちからは、セキュリティと費用の話で「基幹にするのはやめて」という否定が多く出ました。
  • 中身を言い直すより、基幹にしない・上に一声かけて仮に始める、のような心配が小さい形を探します。

費用やセキュリティを、上の人が判断できる資料にまとめる進め方は、次の記事にまとめました。

Next Creations は、中小製造業向けに、現場の作業を観察し、その流れに合わせて設計する業務システムの個別開発をしています。作ったものをどう社内に通すかで迷っている段階でも構いません。上の5つのうち書けなかった所を1行添えて、お問い合わせのページから送ってください。メールなら info@next-creations.jp です。

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この記事を書いた人

製造業で10年以上、印刷・金属加工・アパレルの現場を経験。生産管理システムの構築やホームページの管理を担当してきました。Excel管理の限界にぶつかり、業務アプリを自作。2023年から生成AIを実務で使っています。IT担当者のいない中小製造業でも、人を増やさずに回る仕組みづくりを現場目線で発信しています。

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