今週の生成AIニュース|製造業に関係ある3つ(10/20〜21)

今週の生成AIニュース|製造業に関係ある3つ(10/20〜21)

生成AIの発表は、この1週間も Google のものが続きました。 見出しを追うだけで「で、うちの会社に関係あるの?」と手が止まった人も多いと思います。 今週の3つは、どれも「契約しているサービス」か「社内のルール」のどちらかに触れる話です。 読み始める前に、自分の会社が Google Workspace を契約しているかと、生成AIの社内ルールがあるかの2つだけ、手元で確かめてみてください。

3つとも、今日すぐ何かを変えなければいけない話ではありません。 私の判断は、スプレッドシートの Gemini が「試す」、Gemini アプリの事業者向けの道具が「様子を見る」、デジタル庁の源内基準が「会社のルールを先に確かめる」です。 分かれたのは、条件がどこまで書かれているかと、会社のお金や情報に触れるかどうかの違いでした。

今週の3つと、私の判断
  • Gemini アプリに加わる、小さな事業者向けの道具:様子を見る
  • iOS の Google スプレッドシートで使える Gemini(対象のプランだけ):試す
  • デジタル庁が掲載した AI エージェントの「源内基準」:会社のルールを先に確かめる
目次

Gemini アプリに事業者向けの道具が順次追加。日本語の対応が分かるまで様子を見る

Google は2026年10月20日、Gemini アプリに小さな事業者向けの道具を加えると発表しました。 私の判断は「様子を見る」です。届く時期と使える条件が、まだはっきりしないからです。

発表されたのは、事業の管理の画面・画像作り・お金の動きの図

Google のブログによると、加わる道具は、大きく分けて次の3つになります。

  • ブランド・お金・顧客の情報をまとめる、事業の管理の画面(Business landing page)。Gemini を Google ビジネス プロフィール、Google 広告、Google Workspace と、Adobe・Canva・Dropbox・Shopify・Wix・Zoho・Xero などの他社のアプリにつなげる
  • ホームページやブランドの資料・フォント・色を一度登録すると、Gemini と Nano Banana 2.1 がその見た目に合わせて画像を作り続ける
  • 表計算のファイル・領収書・購入の記録から、お金の動きの図や、操作できるモデルを作る

出典:Google のブログ:小さな事業者向けの Gemini アプリの新しい道具

提供は順次です。 マーケティングと経理のスキルと、つながるアプリは、今後数日で、世界中のすべての Gemini アプリの利用者に順次提供が始まる予定です。 確かめた範囲では、プラン・料金と、日本での提供(日本語の対応)は、Google のブログのこの発表には書かれていませんでした。 管理を一元化したい大きな会社には、別の Gemini Enterprise(Google Cloud)が案内されています。

出典:Google のブログ:小さな事業者向けの Gemini アプリの新しい道具

事務で、領収書や売上の表からお金の動きを図にする場面に関わる

たとえば、事務の担当の人が、経費の領収書や売上の表から、月ごとのお金の動きを図にしているとします。 会社案内や求人のチラシの画像を、毎回そろった見た目で作りたい人もいるでしょう。 どちらも、今回の発表に出てくる作業と重なります。

ただ、ここで引っかかる所があります。 領収書も売上の表も、会社のお金の情報なんですよね。 社員が会社の表や領収書を Gemini に読ませるなら、生成AIの社内ルールで何を入れてよいかを確かめる必要が出てきます。 あなたの会社のルールに、領収書を AI に入れてよいかどうかは書いてありますか。

よくある悩み
便利そうなのに、ルールを決めてからだと、いつまでも使えない気がします。
日向創
社外秘の情報を入れないのは、当然の前提です。何なら入れてよいかは、使う前に会社で決めておきたいと考えています。

私なら様子を見る。届く前に、入れてよい情報を決めておく

私なら、この話は「様子を見る」に置きます。 順次提供で、日本語の対応もプランも分からないうちは、試したくても試せる人が限られるからです。 「便利そうだから、届いたらすぐ経理の表を入れてみよう」。 そう思いたくなるのも確かです。 でも、私は順番が逆だと思っています。

会社として生成AIを使えるようにしようとしたとき、最初に出てきたのはセキュリティの問題でした。 情報を入れるときのルールが、そもそも会社に無かったんです。 お金の情報を AI に読ませるなら、同じところでもう一度つまずくと思います。

じゃあ、どうするか。 届くまでのあいだに、入れてよい情報と入れない情報を決めておけばいいと考えています。 日本語の対応を待つあいだにも、ここなら進められます。 届いたときに確かめたいのは、次の3つです。

  • 自社の契約と日本語で、この道具が使えるか
  • 領収書や売上の表を AI に入れてよいと、社内ルールに書いてあるか
  • 作られたお金の図の数字を、元の表と照らす人が決まっているか

iPhone のスプレッドシートでも Gemini に表の要約を頼める。対象のプランなら試す

iPhone でも、Google スプレッドシートの中で Gemini に表のことを頼めるようになりました。 会社が対象のプランを契約しているなら、私はこれを「試す」側に置きます。

ウェブと Android に続いて iOS でも。対象は決まったプランだけ

Google Workspace の更新情報で、2026年10月19日に発表された話です。 ウェブと Android に続いて、iOS の Google スプレッドシートでも Gemini が使えます。 Gemini のアイコンを押して、表のデータについて質問する、分析の気づきを出す、グラフを作る、といった使い方ができます。 提案される指示の例として並ぶのは、「Summarize this table(この表を要約して)」と「Analyze for insights(分析して気づきを出して)」の2つです。

出典:Google Workspace の更新情報:iOS の Google スプレッドシートの Gemini

使える条件は、次のとおりです。

項目 発表にあること
対象のプラン Business Starter・Standard・Plus、Enterprise Starter・Standard・Plus、Google AI Pro for Education(追加の契約)、個人向けの Google AI Plus・Pro・Ultra
提供の時期 2026年10月15日から順次。表示まで最大15日かかる
管理者の設定 この機能だけの設定は無く、Gemini for Google Workspace の設定に従う
初めの状態 対象の利用者には、初めから有効

出典:Google Workspace の更新情報:iOS の Google スプレッドシートの Gemini

確かめた範囲では、無料の個人のアカウントと、日本での提供(日本語の対応)のことは、Google Workspace の更新情報のこのページには書かれていませんでした。

倉庫や出先で、在庫や受注の表をスマートフォンで見る場面に関わる

たとえば、受け入れの担当の人が、倉庫で在庫の表を iPhone で開くとします。 営業の人なら、出先で受注の表を確かめることもあるでしょう。 そういう場面で、表の要約やグラフ作りを、その場で頼めるようになります。 在庫の表、スマートフォンで開くことはありますか。

管理する側にも関係があります。 対象の利用者には初めから有効なので、Google Workspace の管理者が、社員のスマートフォンでの使われ方を一度確かめておく場面が出てきます。

表を1つずつ開かないと、何が起きているか分からない。 正直、私は前から、そういうやり方はおかしいと思ってきました。 だから要約を頼めるのは便利です。いや、便利というより、開いて読む手間が1つ減る、くらいの話です。 AI に要約させる前に、表そのものが見える形になっているか。私はそちらのほうが先だと考えています。

私なら試す。表を1つ選んで要約を頼み、元の数字と照らす

私なら、この話は「試す」です。 ただし、会社が対象のプランを契約していて、社内で Gemini を使ってよいと決まっている場合に限ります。 大きく変えるより、小さく試して確かめる。私はこの順番を大事にしています。

たとえば、社内ルールで扱ってよい表を1つ選んで、要約を頼んでみる。 出てきた要約の数字を、元の表と照らすところまでが「試す」だと考えています。 ○の所を、自社の表に合わせて変えて使います。

この表を要約してください。
- 見たいこと:○○ごとの○○の合計
- 使う範囲:○列から○列まで
- 数字は表にあるものだけを使ってください
- 計算できない行があれば、その行を教えてください

答えが出たら、合計の数字を1つだけでも、元の表で計算し直して確かめてください。 提案の例は英語でした。日本語で頼んだときにどう答えるかは、私も確かめきれていません。お手元で一度試してみてください。

指示文を、そのまま使える型に分けて書く方法は、次の記事にまとめました。

デジタル庁が「源内基準」を掲載。使う人・管理する人・作る人で分けるルールの見本に

デジタル庁が、政府職員向けの AI エージェントの環境と、それを安全に使うための「源内基準」をページに載せました。 私は、これを会社のルールを先に確かめるための見本として読んでいます。

政府職員向けに AI エージェントを順次導入し、守ることを立場ごとに定めた

デジタル庁の新着の配信に、2026年10月20日付けで載ったページです。 デジタル庁のページによると、約18万人の政府職員を対象に、手軽に AI エージェントを作って動かせる「エージェントチャット」を、各府省庁などへ順次導入する計画です。 高度な AI エージェントを作る「源内工房」は、令和8年12月ごろまでの導入を目指しています。 どちらも政府職員向けの環境で、「源内OSS Ver.2.0」として令和9年2月ごろに公開される予定になっています。

出典:デジタル庁:ガバメントAI 源内の AI エージェントと源内基準

出てくる言葉を、ふだんの言葉に言い換えると次のとおりです。

AI エージェント

指示を受けて、いくつかの作業を順に自分で進める AI のこと

OSS

中身のプログラムが公開されていて、ほかの人も使えるソフトのこと

あわせて載ったのが「源内基準」(ガバメントAI 源内 ガバナンス・セキュリティ・セーフティに関する基準)です。 AI エージェントを安全かつ適切に使うための基本的な考え方と守ることを、「利用者」「管理者」「開発者」の立場ごとに定めたものです。 作るときには、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)の協力を得ています。 地方公共団体や民間事業者などが AI エージェントの導入を考えるときの、モデルケースとして広く参考にしてほしい、という位置づけです。 個々の項目は、ページから開ける PDF にまとまっています。

出典:デジタル庁:ガバメントAI 源内の AI エージェントと源内基準

総務や情報システムの担当が、社内の AI のルールを作るときに関わる

政府職員向けの話なので、うちの会社には遠い、と感じるかもしれません。 でも、関わるのは中身より、ルールの分け方のほうです。 たとえば、社内の生成AIのルールが「使う人が守ること」だけでできている会社があるとします。 そこへ「管理する人が決めること」「作る人が守ること」を足すときに、立場ごとに分けた国の資料は見本になります。 総務や情報システムの担当の人なら、上に説明するときも、出どころを示しやすいはずです。

よくある悩み
社内ルールを作ってと言われても、どこから手を付ければいいのか分かりません。
日向創
何が必要か(費用・セキュリティ・ルール)を書き出して資料にし、根気強く説明する。組織で新しいものを使うなら、私はそれしかないと思っています。

私なら会社のルールを先に確かめる。立場ごとに分けて書けているかを見る

会社として生成AIを使えるようにしようとしたとき、私はまず、何が必要かを書き出しました。 どのサービスを、どのプランで使うか。毎月いくらかかるか。セキュリティはどうなっているか。 それを調べて資料にまとめ、何度か説明を重ねました。 ルールを決めて、費用も認められ、会社として契約する形になったんです。

正直、すごく疲れました。

今回の源内基準で、私がいいなと思ったのは、守ることを立場で分けている所です。 ただ、「国の基準をそのまま写せば、うちのルールができる」とは、私は考えていません。 会社によって変わると思いますが、政府の職員と中小の製造業では、管理する人の置き方からして違うはずです。

私なら、まず自社のルールを開いて、1行ずつ「使う人・管理する人・作る人の、誰に向けた決まりか」を見分けます。 だったら、使う人の決まりしか無ければ、管理する人の欄を足すところから始めればいいんです。 今の社内ルールは、誰に向けて書かれていますか。

生成AIの社内ルールに入れておく項目と、そのまま直して使える Word のひな形は、次の記事にあります。

まとめ

今週の3つ
  • Gemini アプリの小さな事業者向けの道具は、今後数日で順次提供が始まる予定。プランと日本語の対応が分かるまで様子を見て、そのあいだに入れてよい情報を決めておく
  • iOS の Google スプレッドシートでも Gemini が使える。対象のプランで、社内で使ってよいと決まっていれば、表を1つ選んで試し、数字を元の表と照らす
  • デジタル庁の「源内基準」は、守ることを利用者・管理者・開発者の立場ごとに分けている。自社のルールが誰に向けた決まりかを確かめる見本にする

今週のうち、まず試すならスプレッドシートの Gemini です。 対象のプランを契約していて、社内で使ってよいと決まっているなら、扱ってよい表を1つだけ選んで要約を頼んでみてください。 合計の数字を元の表と照らすところまでが、1つ分の「試す」です。

今週の3つのうち、まず試すのはスプレッドシートの Gemini で、事業者向けの道具は日本語の対応とプランが分かるまで様子を見て、源内基準は会社のルールを確かめる見本にする

上の人に「生成AIを会社で使えるようにしたい」と話すとき、判断してもらう項目は次の記事にまとめました。

今週の3つを読んで、自社のルールに足りないと感じた所をメモに書き出せたら、そのメモを添えてお問い合わせのページから送ってください。メール(info@next-creations.jp)でも受け付けています。

この記事で確かめた資料

この記事のニュースは、次の公式ページで確かめました。

英語の2つのページは、日本語に訳して読んでいます。細かい言い回しは、原文でも確かめてみてください。 提供の時期や対象のプランは、発表した会社が書き換えると変わることがあります。使う前に、一度公式のページを開いてみてください。

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この記事を書いた人

製造業で10年以上、印刷・金属加工・アパレルの現場を経験。生産管理システムの構築やホームページの管理を担当してきました。Excel管理の限界にぶつかり、業務アプリを自作。2023年から生成AIを実務で使っています。IT担当者のいない中小製造業でも、人を増やさずに回る仕組みづくりを現場目線で発信しています。

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